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日々の生活あれこれ。趣味のロードバイクと猫との生活など

日本の学生のヨーロッパへの派遣事業

学生をヨーロッパへ派遣し、実際のレースを肌で感じて何らかの形で日本の自転車界へ還元しようという事業が10年前から行われていたようだ。こういうものこそ自転車雑誌で特集すればいいのに・・・。


過去9年は学生トップレベルの選手を主に派遣していたようだけど、今年は一般公募で"やる気"のある選手を連れて行ったようだ。その副産物(!?)として選手の意識の面だったりレース内容だったり、果ては機材への配慮や練習方法まで細かい"差"が浮き彫りになったようだ。

ご飯を選ぶときの基準とかも面白いけど、一番興味深かったのは心拍系を「3、心拍計の使用に関して」と枠を設けて否定していること。あくまで

  • トレーニング=レースが成り立つ環境
  • 非初心者が
  • レースでの使用(ペースとかを計るタメ!?)を目的として

といった条件においてだけど、Polarの名前をきっぱり出して、プロが使用していることを"やらせ"と断言し、心拍系を意味のないものとしている。広告主に気を使わざるを得ない雑誌等ではありえないくらい厳しい言葉に感じられてびっくりした。そんな言葉は

尚、レースを走った経験の少ない一般のサイクリスト、特に日本では「〜博士の理論」とか「科学的トレーニング」と
いう言葉に妄信的な人達が多く、心拍計を装着・使用するだけで、一流のトレーニングを実践していると錯覚してしまう
ケースがあるので要注意です。
もし心拍計がレースで利用価値ありならば、TTの様な種目でその威力を発揮するはず。プロ選手の多くが心拍計
サイクルしかし、TTでは殆どの選手が心拍計どころかコンピューターも使わず、自分のサイクルコンピュータも使わな
い。感覚で走っている、これが現実。

レポート筆者である山宮正さんのこういった問題意識にあるようだ。

最近はGarminのEdge705(地図を見るため?)を付けた選手も結構いるものの、確かにプロ選手はサイクルコンピューターを付けているといっても多機能のものではないことがほとんど。Team Columbia-Highroadのように練習でもレースでもTTでもSRMを付けているようなチームは増えてきているけど希だ。

確かに心拍計がついてると自分でリミットを設定してしまい、それ以上頑張れるのに抑えてしまうなんてこともあると思う。レースで心拍計をつけていない方がいい成績が出ることもあるかもしれない。


ただ一方で一般サイクリストの間で心拍計が広まったのはPolarを扱う某社のPRが上手いことが一つと、もう一つが今回の派遣された学生が表しているが、日本では頻繁にレースが開催されていないことや競合校でなければ自転車競技部がある大学ですらまともなコーチがいない、と嘆いている状況があるのではないだろうか。

大学生でその状況なのだから一般サイクリストがキチンとした指導をうけられることは希で、仕事を持っている人であれば例え毎日練習できるとしても、一人で走ることが多く単調になりがちな練習の中で何らかの指標が欲しいと思うの必然だ。早くなるには常にレースをして誰かと競い続けるしかないというならその環境作りに頑張って欲しいし、何かしらの有効な練習法なりを示してくれよ、と思う。

ロードレースの練習に関する本で日本人が書いたものってかなり少ないし、ヨーロッパレースの実情を伝えるものもあまり多くないと思う。ヨーロッパとか自転車が強い国の選手がみんな○○理論で強くなった何て思ってないけど、それぞれの国に小さいクラブとかがあって、色々なノウハウを受け継ぎながら強くなっていったんだと思う。


日本にはそういった育成システムみたいなのが未だに部活動とか各学校やショップに投げたままで統一されたものがないのだから、中田英寿がサッカーでやろうとしているように、地域に自転車を根ざす方も頑張って頂きたい。今回派遣されたFKさんは学んだ事を将来は地域のレース運営や国内での選手指導などに活かしたいと考えていると言っているようなので、それこそ日本の自転車界にとって意味のある遠征だったんじゃないか。こういう人がちょっとづつ増えていけば時間はかかるけど、日本人選手が世界で認められていくと共に、趣味としての自転車もアリだと思われるようになるハズ。<追記>
レポート筆者の山宮正さんの記事を見つけた

想像していた通りロードレースへの情熱を持って、素晴らしい行動力を持って自身でレースを経験されている方だった。このレポート、レポートすることを目的としたレポートっぽくて、やはりこの10回目の遠征は普段と違う人選をされたのだから、興味深くデータを取るなり過去の人達の経験との差を何らかの形で"広く"役立つようにすべきだと思う。

またこのヨーロッパ遠征事業もただの年間行事ではなく、今後の日本の自転車競技界の発展にいかに結びつけるか、という意味でデータなり経験なりを蓄積、活用できるようにするのが好ましいと思う。それこそ派遣選手や有望な選手には協会からパワーメーターを貸し出してデータを取る、というのも一案だと思う。希望した選手と、選抜した選手両方連れて行ってもいいだろうし。とにかく、一回一回で終わりじゃなくて今後にどう活かすか、という視点を持って欲しいと思った。