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会社を経営する意思

沢井製薬:消費者主権マーケティングシステムを確立
医師ではないし、病院で薬をもらった経験すらほぼないので正直言って薬に関してはわかりません。ジェネリックについても特許の期限が切れた薬を安価に製造できるというくらいで、信頼性がどうとか、実際どの程度違うのか、といったことは知りませんでした。

この記事を読んでいいなぁ、と思ったのはジェネリックの内容とかではなく、沢井製薬の社長のとった行動。

沢井製薬の澤井弘行社長は、新薬メーカーが特許が切れた新薬でも卸への販売価格を下げないため、結果的に薬価が下がらず、いつまでたっても患者の負担が減らないことに強い不満を持ってきた。また、新薬一辺倒では日本の医薬業界が世界的な潮流に乗り遅れることに危機意識を抱いてきた。そして、厚生労働省、業界団体、マスコミに対して、ジェネリック医薬品の普及には薬価制度の抜本的改革がぜひとも必要だと訴え続けてきた。

しかし、一向にらちが明かないことに業を煮やした澤井社長は、ついに思い切った手を打った。なんと、一般国民に向かって、ジェネリック医薬品の啓発活動を展開したのである。澤井社長は、「良質なジェネリック医薬品の普及に努めることが当社の社会貢献だ」という信念に基づき、大半の役員の反対を押し切って、1997年からPR広告を開始した。

大半の役員が反対したことを会社がコストをかけて実施するのは上場企業の社長として大変だったと思います。しかし企業を経営するにあたり自社の存在意義と社会に対してとるべき行動を考え、自社の利益と社会貢献を両立させようという意思を持って事業を拡大させているのは本当にすごいところではないでしょうか。

沢井製薬株価もそれに呼応するように成長していますので、市場もその姿勢をプラスに評価しているのでしょう。

20世紀型ビジネスモデルでのマーケティングは「いかに消費者に買わせるか」が主眼であった。しかし21世紀型ビジネスモデルでは「いかに消費者に選んでもらうか」がポイントとなる。

医薬業界においても、この構図が進行している。これまで医薬の世界では、医者が絶対的な存在で、患者は、医者から処方された薬を黙って窓口で受け取るだけだった。薬を選択する権利を有していなかった。

しかし、ジェネリック医薬品に関する情報が豊富になり、かつ処方箋様式が変更されたことによって、患者は、自らの意思で新薬とジェネリック医薬品のどちらにするかを選択できるようになった。ジェネリック医薬品の価値を認めた患者が、ジェネリック医薬品の処方を主張するのは自然の流れであろう。

他の一般消費財と同じように医薬業界においても、患者が自らの判断で薬を選ぶ環境が整いつつある。消費者主権のポストモダン革命が始まろうとしている。

よいものを提供しているのだから、消費者が選んで当然だ!
なんて思って商品を作っていてはもうだめなのかもしれません。
製品自体はよくても、それを消費者に認知され選ばれる理由がなくては。
以前コーズマーケティングについて触れました。そういった動きも消費者に選ばれたい企業と何か社会貢献したい消費者からのニーズがマッチしたことから始まりました。

時代は少しずつ移り変るのですね。