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本当に足りないのは・・・・??日本の医療の向かう道

医療について考える機会が増えている。
大学医局の“恫喝”に屈した有名病院チェーン
医療問題については問題が色々あって、一つを解決してオールクリアにはならないが、よく言われている"医者の数が足りない"について。


本当に足りないのは医者ではなく医療従事者だと思う。

後医者の配置という問題もあるかな、とは思うがどの科に進むかは個人の自由の意思で決めるものでもあるし、不本意な部門でモチベーションを高く働くのは非常に難しい。金銭だったり、何かの枠組みを作って働く意欲を向上させないと今度は質の低下を招いてしまうだろう。

日米の診療科別の医師数の比較(1)

米国の人口あたり医師数を1とした場合の日本の医師数

State Tatals 632,818 日本総数 249,574

アメリカと日本の人口比が1対2.3なのを考えると数としてみればまぁまぁだろう。脳神経外科と整形外科は非常に多いが。

それでも日本では医師が足りないと思われているのはなぜなんだろう。
それは結局のところ医師の仕事の内容なんだと思う。実際医療現場にいるわけではないので、数字でしか判断できないのが非常に残念なところだけど、医療従事者がアメリカの5分の1しかいない。それは結局医師の負担増、労働時間の多くが医療事務等に割かれてしまっているのではないだろうか。そして以前も書いたが医療費全体の額がアメリカの10分の1、30兆円程度しかない日本では医師の給料も安い。

そういった環境、当直もしなくてはいけない、日々変化する医療の最新情報も勉強しなくてはいけない、診療の時間も必要だ、といった環境で医師により多くを求めるのは酷だという気もする。

そして今の日本の医療で感じることで的を得ていると思ったのが次の記事にあった言葉。
医師は本当に足りないのか?

・・・・・しかしながら、医療が必要な人々が満足できる医師が必要な数だけみつからない――と言う点では、「医師は足りない」と言っていいのではないでしょうか。

まさに私たちが病院に対して感じるのはそういうことなんだろう。

ただ先に述べたようにその一因は医師の負担が大きすぎることがあると思っている。それを解消するには薬学部を6年制にするよりも大学に新しい科を設立し、医療従事者を増やしていき事務や簡単な医療行為を代行していくか、医師の診療科選択、開業の自由を全くなくし、医師の働く地域、科を大学卒業時から管理していくしかないのではないか。


一つ目の医療従事者を増やす、という方ではおそらく医療費が足りなくなり、病院経営が危ぶまれる。
二つ目はおそらく医師側から猛反発が起こる。業務の一部を海外へアウトソーシングすればコストを削減しつつ業務が減るかもしれないが。


結局患者の医療負担を増やすことしか対策がなくなってしまう。
それも一度にあげると大部分が医療難民となってしまう恐れから一定の割合で徐々に医療保険の負担をあげていくしかないようだ。

その医療保険で極端な例だが他国との比較。

極めて深刻な中国の医療問題

 中国社会科学院が発表した医療衛生報告によれば、中国では都市住民の70%、農村住民の96%が異常に高い医療費にまともな診療を受けることが出来ていないとある。これに対して、共産党、政府、軍の幹部を主体とする850万人の特権階級は医療費が免除されており、中国政府の医療予算の80%はこれら特権階級のために使われているという説もある。

・・・・・

 中国の農村では医療保険制度そのものが存在していないと言ってよく、昨今の高騰する医療費の影響もあって、農民は病気になっても医者にはかかれず、市販の売薬頼みで、薬効がなければ、死を待つのみという状況にある。これに対して都市では2004年末時点で1億2400万人が基本医療保険に加入しているが、これらは一定限度までの医療費が補助されるだけで、医療費の高騰により医療保険に加入している恩恵に浴している人々でさえも医者にかかれない状況が出現している。こうした医療費の高騰は医者による診察・治療費の乱脈徴収や大量の高価薬品使用による割戻しなどに起因している。

 2005年8月に黒龍江省のハルピン医科大学付属第2病院で死亡した75歳の男性患者は、ガンで5月に同病院の高級幹部病棟に入院した後、6月にICU 病棟に移された。この患者はICUで68日間に亘る延命治療を受けたがその甲斐も無く8月6日死去。その後に病院から家族に請求された金額は、入院費用が 142万元、薬品代が400万元の合計542万元(約8000万円)であった。当然ながら、この金額に家族は驚きあきれるばかりで、病院に明細を示すよう要求、遂にはメディアの取り上げるところとなり、2005年12月15日「新世紀ネット」が「超高額医療費事件」として報道し、国営テレビの中央電視台もこの事件を報道するに及んで、中国全土に大きな波紋を呼んだ。

こういったことも
「アウディに擦るぐらいならBMWに衝突する方がまし」

中国ではナンバープレートを見れば、相手の車が公用車か否かは分かるが、たとえ相手に非があっても、公用車を相手に喧嘩をしても勝ち目はない。筆者の友人の車が公用車に衝突されたが、交通警察は友人に非があると決めつけて、一切の抗議を受け付けなかった。これは中国の常識であって、議論の余地は全く無い。

といった国なので、政府が管理している以上はすべて文句は言えないのだろう。

そしてアメリカはこんな感じ。

アメリカで病院にかかると、たいていの外国人はびっくりする。べらぼうに高いからだ。盲腸のようなちょっとした手術で200万円、アレルギーで点滴してもらって20万円、処方箋で買う抗生物質が1万円、といった調子だ。がんの手術ともなれば一千万円単位。保険があるからいいものの、そうでなかったら、うかつに怪我もできない。

そして先進的な医療を受けられる代償として先進国との比較で2倍の医療費を払っている。


以前テレビである医師が

"アメリカではお金がある人が、日本では情報を知っている者が得をする医療だ。"

と語っていた。
これが現状なのだろう。
ただ医師はセカンドオピニオンや権利がどうたら言う患者は嫌いみたいだが。



こうして考えてみるとやっぱり最後は足りない医療費をどうするか、という問題になるのかなぁ。ちょっと書いたが日本も業務を中国なりインドなりの人件費が安いがよい教育を受けている国にアウトソーシングしたり、海外医療を信じてメディカルトリップで手術を受けに行く、という時代になるのかもしれない。それがいやならみんなで負担だ。

医療崩壊の先輩、英国と同じ道を歩むのか
にイギリスの例があがっていた。

そして今のところ政府の意思は、これまで優遇してきた人(主に高齢者や障害者)からお金を取ろう、医療費を抑制しよう、ということだ。国民皆保険を実施しながら医療の質を確保するのは本当に難しいんだな。

また現場ではこういった動きもある。
医師不足を教育・研修の充実で解消

一朝一夕で解決できる問題ではないが安倍政権の政策に期待したい。
ちなみに今回厚生労働大臣になって柳沢伯夫氏の地元も小児科医療で苦しいようだ。その彼が医療に対しどんな意見を持っているのか注目したい。